読むことの基礎と批評理論の現在が学べるキーワード集。
フェミニズム、環境批評、ポストヒューマン、精神分析、ポストコロニアリズム……。
多彩なトピックから文学の可能性に飛び込もう!
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本書では文学理論の基礎的な知識を解説しつつ、最新の文学理論の潮流を初学者にも分かりやすく解説しています。
第1部「基礎講義編 ― 文学理論のエッセンス Fundamentals」では、文学理論の根本問題である「テクスト/読む/言葉/欲望/世界」の5つのテーマについて論じ、第2部「トピック編 ― 文学理論の現在(いま)を考えるために Topics」では、文学理論の現在進行形の諸問題についてのトピックを取り上げ、新たな思索の糸口を発見=発明することを目指しています。
文学好きの読者には「もっと深く読む」ために必要な知識を得るための本として、学生や研究者には、レポートや論文を執筆する際の手引きとして有用な一冊。
[出版社より]
編著者|三原芳秋・渡邊英理・鵜戸聡
著 者|郷原佳以・新田啓子・橋本智弘・井沼香保里・磯部理美・森田和磨・諸岡友真
出版社|フィルムアート社
定 価|2,200円+税
判 型|四六判・並製
頁 数|276
ISBN|978-4-8459-1932-1
初 版|2020年3月
Contents
はじめに
第1部 基礎講義編 ― 文学理論のエッセンス Fundamentals
第1章 テクスト 郷原佳以
フィクション論
テクスト的現実
エクリチュール
脱構築
ディスクール/イストワール
言語行為論
言語の非人称性
◎もっと〈テクスト〉について知るための10冊
第2章 読む 三原芳秋
懐疑の解釈学
対位法的読解
徴候的読解
表層的読解
妄想的読解と修復的読解
◎もっと〈読む〉ことについて知るための10冊
第3章 言葉 渡邊英理
翻訳
マイナー文学、少数派(マイナー)的な政治/多数派(メジャー)的な政治
ポリフォニー・聞き書き
表象
脱植民地化と脱冷戦・グローバル化
◎もっと〈言葉〉について知るための10 冊
第4章 欲望 新田啓子
同性愛とクィア
ミソジニーと家父長制度
フェミニズム文学批評
奴隷制廃止論
性欲望・性愛・性幻想
◎ もっと〈欲望〉について知るための10冊
第5章 世界 鵜戸聡
近代文学・エートス・エグゾティスム 国語・オラリティ
検閲・流通
パラテクスト
世界・世界観・世界文学
◎ もっと〈世界〉について知るための10冊
第2部 トピック編 ― 文学理論の現在(いま)を考えるために Topics
第6章 ネーション/帝国/グローバル化と文学 橋本智弘
ネグリチュード
植民地解放理論
オリエンタリズム
サバルタン
擬態(ミミクリー)と雑種性/異種混淆性(ハイブリディティ)
19世紀のナショナリズム論
現代のナショナリズム論
ポスト・ナショナリズム
世界文学論(19世紀-)
世界文学論(現代)
ポストコロニアル・エコクリティシズム
第7章 ポストヒューマン/ニズムと文学 井沼香保里
アンチヒューマニズム
動物論
生成
アクター・ネットワーク論
日本における存在論的転回
オブジェクト指向存在論
思弁的唯物論/実在論
自然と文化
サイボーグ
第8章 環境と文学 磯部理美
人新世/環境人文学
エコクリティシズム/環境批評
動物と人間/(脱)人間中心主義
ネイチャーライティング
空間(スペース)と場所(プレイス)/場所の感覚
パストラル/ロマン主義/都市と田園
ディープ・エコロジー/ 生態(生命)地球主義(バイオリージョナリズム)
土地倫理(ランド・エシック)
ユートピア/ディストピア/エコトピア
エコフェミニズム
進化論/ダーウィニズム
原爆文学/核文学
震災と文学
第9章 精神分析と文学 森田和磨
ジグムント・フロイトの思想
ジャック・ラカンの思想
精神分析と文学批評
シュルレアリスム
フロイト理論とマルクス主義
ラカン理論とマルクス主義
前エディプス期
精神分析とフェミニズム
トラウマ理論
精神分析と日本人論
第10章 ジェンダー・セクシュアリティと文学
フェミニズム運動と文学への影響
ポスト構造主義とジェンダー系批評理論の黎明
ブラック・フェミニズムと黒人文学の軌跡
フランス系フェミニズムと現代女性文学の展開
ポストコロニアル・フェミニズムと文学理論の再構築
クィア批評(1)イヴ・K・セジウィック
クィア批評(2)ジュディス・バトラー
世界の文学(裏) 道案内 鵜戸聡
Book Guide ― 文学理論の入門書ガイド 渡邊英理
おわりにかえて
人名索引・事項索引
Author
三原芳秋
一橋大学大学院言語社会研究科教授。コーネル大学Ph.D.(英文学・文学理論)。批評誌Ex-position, 40号(2018年)特集 “Literary Criticism Scene of the 1980s, Revisited” ゲスト・エディター。編訳書にゴウリ・ヴィシュワナータン『異議申し立てとしての宗教』(みすず書房、2018年)。第2章を執筆。
渡邊英理
静岡大学人文社会科学部准教授。東京大学博士(学術)。近現代日本語文学。著書に『中上健次論』(インスクリプト、2020年近刊)、共著書に『戦後日本を読みかえる4 高度経済成長の時代』(臨川書店、2019年)、『翻訳とアダプテーションの倫理』(春風社、2019年)。第3章とBook Guideを執筆。
鵜戸聡
鹿児島大学法文学部准教授。東京大学博士(学術)。フランス語圏アラブ=ベルベル文学。共著書に『世界の文学、文学の世界』(松籟社、2020年)、『国民国家と文学』(作品社、2019年)など。訳書にカメル・ダーウド『もうひとつの「異邦人」』(水声社、2019年)。第5章と「世界文学(裏)道案内」を執筆。
郷原佳以
東京大学大学院総合文化研究科准教授。パリ第7大学Ph.D.(テクストとイメージの歴史と記号学)。著書に『文学のミニマル・イメージ モーリス・ブランショ論』(左右社、2011年)、訳書にエレーヌ・シクスー/ジャック・デリダ『ヴェール』(みすず書房、2014年)など。第1章を執筆。
新田啓子
立教大学文学部教授。ウィスコンシン大学マディソン校Ph.D.(アメリカ文学、文化理論)。著書に『アメリカ文学のカルトグラフィ』(研究社、2012年)、編著に『ジェンダー研究の現在』(立教大学出版会、2013年)、訳書に『ブラック・ノイズ』(みすず書房、2010年)など。第4章を執筆。
橋本智弘
一橋大学大学院言語社会研究科博士後期課程。ポストコロニアル理論/文学。共著書に『バイリンガルな日本語文学』(三元社、2013年)、『ノーベル文学賞にもっとも近い作家たち』(青月社、2014年)。第6章を執筆。
井沼香保里
一橋大学大学院言語社会研究科博士後期課程。戦間期英国の心霊主義的状況を研究。論文に「コティングリー・フェアリー写真事件における「現実」の多層性」(『言語社会』12号、2018年)など。第7章を執筆。
磯部理美
一橋大学大学院言語社会研究科博士後期課程。イギリス児童文学。論文に “Where Children Encounter the Past: Reading Time-Slip Fantasy as Literature of Place”(Correspondence, No. 4、2019年)、「〈目に見えないもの〉の語り──Lucy M. Bostonの環世界を読む」(『Tinker Bell 英語圏児童文学研究』No. 64、2019年)。第8章を執筆。
森田和磨
一橋大学大学院言語社会研究科博士後期課程。アジア太平洋戦争以後の日米文学。論文に「石原吉郎『望郷と海』における「証言」についての一考察」(『言語社会』12号、2018年)など。第9章を執筆。
諸岡友真
立教大学大学院英米文学専攻博士後期課程。アメリカ文学。論文に「『もう一つの国』における愛の政治学」(『立教ジェンダーフォーラム年報』21号、2020年)、書評に「Furui著Modernizing Solitude」(『英米文学』80号、2020年)。第10章を執筆。
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