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異端審問

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――皇帝ジギスムントが宮中伯ルートヴィッヒに向かって命令する。「囚人を受け取り、よろしく異端者として扱え」。今度はルートヴィッヒがコンスタンツの帝国代官に向かって命令する。「我ら双方によって断罪されたる者としてこの者を受け取り、よろしく異端者として焼け」。

1415年に異端として裁かれた宗教改革の先駆者、ボヘミアのヤン・フス処刑の克明な描写にはじまる本書は、中世のヨーロッパで異端審問がどのようにして生まれ、そして制度として定着していったのかを、具体的なエピソードを丁寧に積み重ねながら、当時の人々の息遣いもあざやかに描き出す。

法も手続きも無視して「すべて殺せ」という13世紀の異端狩りの熱狂から、ウンベルト・エーコの小説『薔薇の名前』にも登場した、世界で最も有名な異端審問官ベルナール・ギーによって組織化・マニュアル化された14世紀の冷徹無比な異端審問を経て、15世紀末スペインでの過酷な弾圧に至る、その道のりの背後には、いかなる時代精神が見いだせるのか。

西洋中世史不朽の名著『異端カタリ派の研究』(岩波書店、1989年)の著者が、多彩な史料を駆使して知られざる中世世界への扉を開く!(原本:講談社現代新書、1996年)
[出版社より]


著 者|渡邊昌美
出版社|講談社[講談社学術文庫]
定 価|920円+税
判 型|文庫判/並製
頁 数|224

ISBN|978-4-06-522545-5
発 行|2021年02月


Contents
第一章 薪と硫黄の匂い――異端審問とは何か
第二章 剣と火と異端者――異端審問の誕生まで
第三章 異端審問創設の頃
第四章 異端審問の制度化
第五章 審問官ベルナール・ギー
第六章 裁かれる者たち
第七章 スペインの火刑台

あとがき
参考書目抄
解説「異端審問と交差する四つの歴史の道筋」(轟木広太郎)


Author
渡邊 昌美 Masami Watanabe
1930-2016年。岡山県生まれ。東京大学文学部西洋史学科卒業。高知大学教授、中央大学教授をへて、高知大学名誉教授。専門は、フランス中世史。主な著書に、『異端カタリ派の研究』、『中世の奇蹟と幻想』、『フランス中世史夜話』など。主な訳書に、エマニュエル・ル・ロワ・ラデュリ『モンタイユー』(共訳)、マルク・ブロック『王の奇跡』(共訳)、ジャン・クロード・シュミット『中世歴史人類学試論』など。

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