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戦争経験と忘却をテーマにした映画作品《ヒロシマ・モナムール》(Hirosima monamour, 1959)の冒頭で、映画撮影のためにヒロシマに滞在するフランス人女性が「私はヒロシマを見たわ」と語るのに対して、ヒロシマ在住の日本人男性は「きみはヒロシマを見ていない」と幾度も繰り返します。物語の後半では、女性が戦争によって恋人を亡くした過去を語り、女性も男性と同様に否定的な態度を取ります。
経験するとはどういうことなのか?
経験していないことについて語ることはできるのか? 沈黙するべきなのか?
経験を語ることにどのような意味があるのか?
経験していないことを知ることはできるのか?
経験を語ることができない人はいないのか?
他者は理解できるのか?
理解できないとしても、いかに向き合うことができるのか?
このプロジェクトは、災害、戦争、事件、事故、歓喜、快楽などの様々な「経験」について考え、芸術生産の可能性を探る試みです。
[編集部より]
企画・編集|Ra+制作委員会
判 型|D4タブロイド判
頁 数|32
価 格|500円+税
ISBN|978-4-908323-01-0
初 版|2012年5月
Contents
飯島和樹(言語神経科学) 「経験をつくる 経験についての科学」
飯島真理子(芸術表象) 「経験を語ることについて」
石内 都(写真家) 「ひろしま」
ヴィヴィアン佐藤(美術家, 非建築家) 「マドレーヌ、Tバック、幽霊」
大島智子(アーティスト) 「かわらない」
太田敬子(オルタナティブスペース“CAVE”スタッフ) 「政治について私たちが語るとき、そこにまとわりつく「ヌル」について」
岡部あおみ(美術評論家) 「闘いの踊り フォーサイスとニジンスキー」
加治屋健司(表象文化論・美術史) 「経験を代置すること 目黒区美術館「原爆を視る 1945-1970」展の中止について」
兼松芽永(芸術の人類学/ 社会学) 「しゞまに孕む」
川勝真一(RAD ディレクター) 「「縮尺」という約束事を持った経験について」
倉茂なつ子(アーティスト) 「ひとり遊びシリーズ#02 妄想」
齊藤哲也(芸術表象) 「愛おしさへとコンバートすること」
佐藤 信(政治学) 「経験の社会化とその陥穽」
清水美帆 / Danger Museum(アーティスト) 「不確かさと向き合うこと」
陣野俊史(文芸批評家) 「応答するということ」
杉田 敦(美術批評) 「経験の政治」
田中功起(アーティスト) 「言語格差についてのメモ」
照屋勇賢(アーティスト) 「緊急時に始動する美術館」
沼下桂子(芸術表象) 「経験していないことを経験するには」
林 葉子(ジェンダー史, 思想史) 「〈ケアされた記憶〉を呼び起こす 反戦の思想として「ケア」を位置づけるために」
福士朋子(アーティスト) 「S / N」
増本泰斗(アーティスト) 「戦争体験を考えるための実験」
増本奈穂(パーティー研究家) 「日常の負荷を体験するパーティー」
森田浩彰(アーティスト) 「Mar. 11, 2011」
森村泰昌(美術家) 「なにものかへのレクイエム(記憶のパレード / 1945年アメリカ)」
八幡亜樹(アーティスト) 「生きることは「編集」すること」
吉田アミ(前衛家) 「あなたとわたしとわたしたち」
The Academy of Alter-Globalization(アートトリオ) 「あらゆる状況を作る切り紙キット」
Chi Too(アーティスト) 「Are We Forgetting Somethings?」
Kyongfa Che & Jeuno JE Kim(キュレーター、アーティスト) 「Interview with the Director of The Greece Gropers Foundation」
Roger McDonald(キュレーター) 「経験の地平線」
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