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朝のピアノ——或る美学者の『愛と生の日記』

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「しばらく外国にいたとき、この本を1日いちど、3回読んだ。毎日読んでもいい本」
ーーハン・ガン[ノーベル賞作家]

余命を知ったとき、残りの日々をどう生きるか。
日常がシャッターを下ろすように中断されると知った時……残ったのは「愛」。

韓国の哲学アカデミー代表も務めた美学者キム・ジニョンは癌を宣告される。本書は天に召される3日前、意識混濁の状態に陥るまでの日々を記録した散文集だ。死に対する不安を率直に綴りながらも、世界のささやかな美を発見し、周囲の人たちを愛し、人間としての威厳を最後まで保ち続ける記録である。
[出版社より]


著 者|キム・ジニョン
訳 者|小笠原藤子
出版社|CEメディアハウス
定 価|2,200円+税
判 型|四六判/並製
頁 数|272

ISBN| 9784484221274
発 行|2025年03月


Contents
[抄録]

〈1〉
朝のピアノ。ベランダで遠くを眺めながら、ピアノの音に耳を傾ける。わたしはこれから何をもってしてピアノに応(こた)えられるのだろうか。この質問は妥当ではない。ピアノは愛である。ピアノに応えられるもの、それも愛あるのみだ。

〈3〉
いまわたしに必要なものは、病(やまい)に対する免疫力だ。免疫力は精神力。最高の精神力、それは愛である。

〈8〉
突として心がぽきぽき折れる。
秋日の枯れ木のように。

〈10〉
イウォンを会社に送り届けた帰り道、道端に車を停める。煙草をくゆらせながら朝の風景を眺める。駅前の駐車場はがらがらだ。毎日わたしの古びた車を停めていた場所。わたしを日常に送り出し、夜遅くまた戻ってくるのを待ってくれていた場所。その空っぽの場所で、心がまたもぽきっと折れる。

〈11〉
どうすればすべてを守れるだろうか。
自分を守れるだろうか。

〈12〉
昨晩、Cがメールを送ってきた。
「先生はいつもおっしゃっていましたよ。希望のない場所に希望はあるのだと」

〈15〉
今日はジュヨンがアトリエに行く日。外出をためらう彼女の背中を押す。わたしにせっつかれて、とうとう鏡の前に座ったジュヨンの姿を眺める。小さく丸い体つき。いつでも笑みを絶やさず、どんなときも大笑いして重い世の中を明るく一蹴する、笑いの塊のような体。

わたしは笑顔が素敵なこの女性から旅立つことができるのか。


Author
キム・ジニョン
哲学者/美学者 高麗大学ドイツ語独文学科と同大学院を卒業し、ドイツのフライブルク大学大学院(博士課程)留学。フランクフルト学派の批判理論、特にアドルノとベンヤミンの哲学と美学、ロラン・バルトをはじめとするフランス後期構造主義を学ぶ。
小説、写真、音楽領域の美的現象を読み解きながら、資本主義の文化および神話的な捉えられ方を明らかにし、解体しようと試みた。市井の批判精神の不在が、今日の不当な権力を横行させる根本的な原因であると考え、新聞・雑誌にコラムを寄稿。韓国国内の大学で教鞭をとり、哲学アカデミーの代表も務めた。バルト『喪の日記』の韓国語翻訳者としても知られる。

Translator
小笠原 藤子
上智大学大学院ドイツ文学専攻「文学修士」。 現在、慶應義塾大学、國學院大學他でドイツ語講師を務める傍ら、 精力的に韓国語出版翻訳に携わる。 訳書にチョン・スンファン『自分にかけたい言葉 ~ありがとう~』(講談社)、 リュ・ハンビン『朝1 分、人生を変える小さな習慣』(文響社)、 イ・ギョンヘ『ある日、僕が死にました』(KADOKAWA)、 ケリー・チェ『富者の思考 お金が人を選んでいる』(CEメディアハウス)など多数。

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