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アウト・オブ・民藝

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「なぜこれは民藝じゃないの?」

民藝運動の提唱者・柳宗悦亡きあと、新たに民藝を定義しなおすことなどできそうもないし、する意味もないだろう。
しかし、私たちは思う。ひょっとして民藝運動からはぐれてしまった「民藝的な何か」に21世紀の美術や工藝の未来があるのではないかと。

あえて軽やかに「アウト・オブ・民藝」と言いたい。
「アウト・オブ・民藝」は民藝運動へのカウンターではなく、今日の美術や工藝の在り処を探るひとつの考え方だ。

「アウト・オブ・民藝」は民藝の根っこを知ることからしかはじめられない。
「民衆的工藝」=「ARTS & CRAFTS」まさにその語源から考えなければ。
「当面私がいっておきたいのは、われわれが日本人としてモリスの思想を肉化しようとするならば、柳宗悦の実行と思索の総体を媒介とするなしには、つまり、それを批判的に展開しようとする努力なしではあり得ないだろうということである。」
と英文学者・小野二郎が1973年に書いたように。

軸原は郷土玩具やこけし、農民美術など民藝運動から絶妙な距離で仲間に入れなかったものを、中村は民藝運動の時代に素早くその周縁(アウトオブ)に回り込み、自前の工芸論を展開していった人やものを、楽しく、そしてわかりやすく提示します。
[著者/出版社より]


著 者|軸原ヨウスケ・中村裕太
出版社|誠光社
定 価|1,500円+税
判 型|四六判
頁 数|192

ISBN|978-4-9911149-1-5
初 版|2019年5月


Contents
まえがき

第一回 アウト・オブ・民藝とは?
 周縁にいたはぐれ者たち

第二回 こけしと郷土玩具から見る民藝
 民藝運動からこぼれ落ちた「無用の美」

第三回 生活のクリエーション
 創る喜び、飾る楽しみ

第四回 複製芸術ー趣味の版画や出版物ーと民藝
 手仕事×複製技術≠民藝?

第五回 ゲテモノかハイカラか 
 高度資本主義社会における民藝とは

あとがき
「アウト・オブ・民藝」年表


Author
軸原ヨウスケ Yosuke Jikuhara
1978年生まれ、岡山在住。「遊び」をテーマにしたデザインユニットCOCHAE(2003年ー)のメンバーでありデザイナー。伝統こけし工人とのプロジェクト、ドンタク玩具社でも活動。郷土玩具、こけしに興味を持つ。著書に『kokeshi book -伝統こけしのデザイン-』(青幻舎)2010年、『武井武雄のこけし』(pie international)2012年、『日本のおもちゃ絵 -絵師・川崎巨泉の玩具帖-』 (青幻舎)2014年など。折り紙パズル「ファニーフェイスカード」が日本グッドデザイン賞(Gマーク)2008受賞、『猫のパラパラブックス』(青幻舎)で造本装幀コンクール2013審査員奨励賞、『トントン紙ずもう』(コクヨWORK×CREATE)がグッドトイ2013選定など。近年は「岡山名物きびだんご」(山方永寿堂)などパッケージデザインを数多く手がけている。

中村裕太 Yuta Nakamura
1983年東京生まれ、京都在住。2011年京都精華大学芸術研究科博士後期課程修了。博士(芸術)。博士論文「郊外住居工芸論―大正期の浴室にみる白色タイルの受容」。〈民俗と建築にまつわる工芸〉という視点から陶磁器、タイルなどの学術研究と作品制作を行なう。最近の展示に「六本木クロッシング2013:アウト・オブ・ダウト―来たるべき風景のために」(森美術館、2013年)、「第8回アジア・パシフィック・トリエンナーレ」(クイーンズランド・アートギャラリー、2015年)、「第20回シドニー・ビエンナーレ」(キャレッジワークス、2016年)、「あいちトリエンナーレ2016」(愛知県美術館、2016年)、「東アジア文化都市2017京都」(京都芸術センター、2017年)など。工芸を作り手の視点から読み解き、その制作方法を探るプログラム「APP ARTS STUDIO」を運営している。

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