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孤独に生き、孤独に死んだカスナーの文明批評。
本書はいわゆる学術論文ではない。学術論文というものが、客観と論証に立脚した叙述形態だと言うことができるとすれば、本書においてはそういう形態自体が、十九世紀的現象として問題になっている。カスナーの叙述は、論証ではなく着想であり、解明よりは洞察である。事柄のたんなる内容ではなく、むしろ形式としての内容の追求である。
したがって従来の論述に囚われた読者は、本書に特有の言語表現や用語法に戸惑われる場合もあるだろう。しかしここではいわゆる客観性をこととした事柄の論証が問題なのではなく、言うなればヨーロッパ十九世紀が無視してきた魂の領域への喚起がむしろ問題なのだということに留意していただきたい。……全体は八章から成っている。しかしどの章も独立したいわば連作のごときものであり、同じ主題が異なった視野のもとに現れつつ、しだいに「十九世紀」の全貌が見えてくるという体裁をとっている。
[「解説」より]
著 者|ルードルフ・カスナー
訳 者|小松原千里
出版社|未知谷
定 価|5,000円+税
判 型|四六判/上製
頁 数|496
ISBN|978-4-89642-035-7
初 版|2001年6月
Contents
序論
ファウストとバロックの人間
新しい世紀
ロマン主義と個人主義
西のリアリズムと東のリアリズム
均衡の乱れ
まとめと展望
相続者たちへの言葉
解説
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