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人か資本か。優先順位を間違えた政治は、希望を奪い、貧困と分断を拡大させる。話題を呼んだ『ヨーロッパ・コーリング』を改編し、コロナ禍の考察を含む以降の時評を大幅に加えた最新版。激動の時代に、子どもや若者、女性、移民、労働者たちが暮らす地べたから、鋭く温かく英国の世相を読み解き、日本の課題を照らし出す。
[出版社より]
著 者|ブレイディみかこ
出版社|岩波書店[岩波現代文庫]
定 価|1,150円+税
判 型|文庫判
頁 数|492
ISBN|9784006033309
初 版|2021年11月
Contents
二〇一四
年子どもの貧困とスーパープア
ハラール肉と排外ヒステリア
アンチ・ホームレス建築の非人道性
アンチ・ホームレスの鋲が続々と撤去へ
貧者用ドアとエコノミック・アパルトヘイト
餓死する人が出た社会、英国編
英国式『マネーの虎』で失業率を下げる方法
海辺のジハーディスト
地べたから見たグローバリズム――英国人がサンドウィッチを作らなくなる日
風刺とデモクラシー――今こそ「スピッティング・イメージ・ジャパン」の復活を
トリクルアウトの経済――売られゆくロンドンとディケンズの魂
二〇一五年
政治を変えるのはワーキングクラスの女たち
英国が身代金を払わない理由
フェミニズムとIS問題
労働者階級の子どもは芸能人にもサッカー選手にもなれない時代
人気取りの政治と信念の政治
固定する教育格差――「素晴らしき英国の成人教育」の終焉
住民投票と国民投票――国の未来は誰が決めるのか
右翼はLGBTパレードに参加してはいけないのか
スコットランド女性首相、現地版ネトウヨの一掃を宣言
ギリシャ危機は借金問題ではない。階級政治だ
ギリシャ国民投票――六人の経済学者たちは「賛成」か「反対」か
ユーロ圏危機とギリシャ――マーガレット・サッチャーの予言
英国で感じた戦後七〇年――「謝罪」の先にあるもの
欧州の移民危機――「人道主義」と「緊縮」のミスマッチ
再び暴動の足音? ロンドンがきな臭くなってきた
左翼が大政党を率いるのはムリなのか?――ジェレミー・コービンの苦悩
ロンドン市長「移民を受け入れないと日本のように経済停滞する」
元人質が語る「ISが空爆より怖がるもの」
右も左も空爆に反対するとき――キャメロンの戦争とブレアの戦争
二〇一六年
左派はなぜケルンの集団性的暴行について語らないのか
左派に熱狂する欧米のジェネレーションY――日本の若者に飛び火しない理由
地べたから見た英EU離脱――昨日とは違うワーキングクラスの街の風景
英EU離脱の教訓――経済政策はすべての層のために機能しなければ爆弾に引火する
ブレグジット・ツーリズム
うたぐり深い政治の時代
ポピュリズムとポピュラリズム――トランプとスペインのポデモスは似ているのか
二〇一七年
『わたしは、ダニエル・ブレイク』はチャリティ映画じゃない。反緊縮映画だ
組合、だいじ。
レフトの経済
HUMAN(不満)
政治に目覚めた庶民たち――「人への投資」が心摑んだ
飢える休日
命の格差、広がる英国――緊縮財政で医療の質低下
ラディカルな政治
鉄の天井
週四日勤務は夢?
二者択一の不条理――EU離脱が招く和平の亀裂
二〇一八年
もう一つのクリスマス
子どもの権利
バッド・フード
緊縮病「失われた一〇年」――待ちわびる、冬の終焉
パスポート狂騒曲
中道の貴公子
「学校福祉」
治安悪化するロンドン――若者への投資、削減の末
図書館と薔薇
ヒートウエーブ
我慢するな
女王の「お気持ち」
反緊縮モデル国
常識は変えられる
フードバンク泥棒
経済とマインド
緊縮とブレグジット
親子の仲にも礼儀あり
英国の女性参政権一〇〇年――緊縮財政が招く権利後退
マンスプレッディング
肉税問題
健康アプリは不健康?
のど飴とメイ首相
離脱へのカウント
食料砂漠
右翼紙の変化
非道な税金
孤独問題と読書
フルカラーの戦争
ディストピア
若者の時代
貧困を直視せぬ指導者――英国のEU離脱
黄色いベスト
二〇一九年
EU離脱はどうなっとんねん――リバタリアン・ドリームの崩壊
ケチは不道徳
あんたらの国
ブロークン・ヨーロッパ――希望を持つ勇気はあるか
コービンの失敗
格差とシニシズム
EU離脱の混沌と子どもたち――後始末負う世代に投資を
勝ち過ぎた男
大変革時代の英国の教育――長い目で文化格差解消を
緑の政治
リバランス
家なき子
暗黒の二〇一〇年代の終焉――英保守党、脱緊縮の総選挙
二〇二〇年
もっとしなやかに、もっとしたたかに――英労働党が大敗を喫した日に
不安と軍隊
人か資本か
パニック
「恐れ」に煽られぬために――新型コロナウイルスと差別
新型コロナと社会の屋台骨
ジョンソン首相と復活祭の「クリスマス・キャロル」
階層を超えて
「愛は無償」と値切るな
続けた拍手、未来のため――社会に欠かせぬケア仕事
英サッカーと社会運動
英国人とマスク
高速ワクチン
英国の学校再開
くたばったアルゴリズム――ティーンたちの抗議と目覚め
歴史とは
英国のコロナ・エクソダス
友愛
「自助」信じたサッチャーの亡霊
新たな一対九九
自給自足という幻
コロナ、英国「南北の分断」――原因、地理でなく貧困に
二〇二一年
テクノポピュリズムの限界――二一世紀の禍と正面から向き合うことをまだ先送りにするだろうか
乱れる足並み
長期化するコロナ禍
心のワクチン
一年ひと昔
女性の覚醒
英王室の公務
小さな政府より公助の時代――コロナ禍、見えてきた公益
歓迎と受容
五輪の因縁
子ども信じる教育を――学校というストレス
壮大な実験
スポーツと多様性
この先も「共に生きる」――コロナ・アフガン・EU離脱
あとがき
Author
ブレイディみかこ Mikako Brady
ライター・コラムニスト。1965年福岡市生まれ。1996年から英国ブライトン在住。2017年、『子どもたちの階級闘争――ブロークン・ブリテンの無料託児所から』(みすず書房)で新潮ドキュメント賞を受賞。2019年、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社)で毎日出版文化賞特別賞、本屋大賞ノンフィクション本大賞などを受賞。『女たちのテロル』(岩波書店)、『ブロークン・ブリテンに聞け Listen to Broken Britain』(講談社)、『女たちのポリティクス――台頭する世界の女性政治家たち』(幻冬舎新書)、『他者の靴を履く――アナーキック・エンパシーのすすめ』(文藝春秋)など、著書多数。
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