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「過去は現在の光に照らされて初めて知覚できるようになり、現在は過去の光に照らされて初めて十分理解できるようになるのです」。歴史学への最良の入門書を全面新訳。未完に終わった第二版への序文、自叙伝、丁寧な訳注や解説などを加える。達意の訳文によって、知的刺激と笑いに満ちた名講義が、いま鮮やかによみがえる。
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歴史は現在と過去のあいだの対話である――。
この有名なフレーズで知られる本書は、E. H. カーが1961年にケインブリッジ大学でおこなった6回の講義がもとになっている。事実と解釈、歴史と科学、歴史における因果連関、歴史と客観性、進歩としての歴史など、歴史を考えるうえで最も重要なテーマが盛り込まれており、歴史学の最良の入門書、20世紀の古典であるといってよい。
カーは、生前に第2版を準備していたが、序文のみに終わった。本書は、これまで清水幾太郎氏の翻訳で親しまれてきた初版の本文を新たに訳出し、第2版への序文、残されたメモから未完の第2版の内容を復元したR. W. デイヴィスによる論考、晩年のカーによる自叙伝、略年譜などを加えたものである。訳者による懇切な訳註と解説が、理解を手助けしてくれるだろう。
[出版社より]
著 者|E. H. カー
訳 者|近藤和彦
出版社|岩波書店
定 価|2,400円+税
判 型|四六判/並製
頁 数|410
ISBN|9784000256742
初 版|2022年05月
Contents
はじめに(R.W.デイヴィス)
第二版への序文
第一講 歴史家とその事実
第二講 社会と個人
第三講 歴史・科学・倫理
第四講 歴史における因果連関
第五講 進歩としての歴史
第六講 地平の広がり
E.H.カー文書より――第二版のための草稿(R.W.デイヴィス)
自叙伝
補註
訳者解説
略年譜
索引
Author
E. H. カー E. H. Carr
1892年生まれ。イギリスの歴史家・国際政治学者。ケインブリッジ大学卒業後、20年間の外務省勤務を経て、ウェールズ大学教授。第二次世界大戦中には、ザ・タイムズ紙の社説を執筆。1955年よりケインブリッジ大学トリニティ学寮上級フェロー(終身)としてライフワークの『ソヴィエト=ロシアの歴史』(全10巻)に取り組む。『危機の二十年――理想と現実』(岩波文庫)、『ロシア革命』(岩波現代文庫)をはじめ著書多数。
Translator
近藤 和彦 Kazuhiko Kondo
1947年生まれ。東京大学文学部西洋史学専修課程卒業。名古屋大学助教授、東京大学大学院教授、立正大学教授を経て、現在、東京大学名誉教授、王立歴史学会フェロー。専攻は、イギリス近世・近代史。著書に『民のモラル』(山川出版社、ちくま学芸文庫)、『文明の表象 英国』(山川出版社)、『イギリス史10講』(岩波新書)、『近世ヨーロッパ』(山川出版社・世界史リブレット)ほか多数。訳書に、トムスン/デイヴィス/ギンズブルグ他『歴史家たち』(編訳、名古屋大学出版会)ほか。
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