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「家庭料理」という戦場 暮らしはデザインできるか?

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作って、食べて、考える。

「私、結婚したら毎日違う料理を作るんだ!」ある先輩が発したこの言葉に誘われるようにして、文化人類学者は「家庭料理」というフィールドにおもむく。
江上トミ、土井勝、小林カツ代、栗原はるみ、土井善晴といった個性豊かな料理研究家たちの著作、「食べるラー油」ブームの火付け役となった生活情報誌『マート』、レシピ投稿サービス「クックパッド」。数々のレシピをもとに調理と実食を繰り返し、生活と学問を往復しながら家庭料理をめぐる諸関係の変遷を追跡する。

心を込めた手作りが大事なのか、手軽なアイディア料理が素晴らしいのか、家族がそれぞれ好きに食べる個食はなぜ非難されるのか、市販の合わせ調味料は「我が家の味」を壊すのか、レシピのデータベース化は何をもたらしたのか、私たちは暮らしを自由にデザインできるのか?
 家庭料理をめぐる様々な問いと倫理が浮かびあがり、それらが互いに対立しながら部分的につながっていく。何らかの価値判断を押しだすのでもなく、それらをシニカルに論評するのでもない。日々の料理を作り食べること、それは暮らしという足下から私たち自身を考えることにつながっている。
[出版社より]


著 者|久保明教
出版社|コトニ社
定 価|2,000円+税
判 型|四六変型判
頁 数|216

ISBN|978-4-910108-01-8
初 版|2020年1月


Contents
はじめに――毎日違う料理を作るんだ!

第一章 わがままなワンタンとハッシュドブラウンポテト
 暮らし、見えない足下/美味しい時短/消費社会下の家庭料理/ゆとりの天才/静かな戦い

 実食! 小林カツ代×栗原はるみレシピ対決五番勝負(前半戦)
  第1戦 昼の副菜「キューカンバーサラダ」×「自家製ピクルスミックス」
  第2戦 昼の主菜「じゃが芋スパゲティ」×「スパゲッティミートソース」

第二章 カレーライスでもいい。ただしそれはインスタントではない
 手作りと簡易化/村の味/毎日がごちそう/ねじれた継承/贈与の拠点

 実食! 小林カツ代×栗原はるみレシピ対決五番勝負(後半戦)
  第3戦 夜の副菜「大根たらこ煮」×「じゃがいものニョッキ、レンジトマトソース」
  第4戦 夜の主菜「食べるとロールキャベツ」×「煮込みれんこんバーグ」

第三章 なぜガーリックはにんにくではないのか?
 正しい料理/脱構築の末路/欲求を知り、満たす/にんにくではダメなんです/「我が家の味」のデータベース/動物的消費の彼方/ホワイトキューブのもそもそメシ

 実食! 小林カツ代×栗原はるみレシピ対決五番勝負(最終戦)
  第5戦 夜の汁物「なすとそうめんの汁」×「かぼちゃの冷たいスープ」
  レシピ五番勝負を終えて

おわりに――暮らしはデザインできるか?


Author
久保明教 Akinori Kubo
一橋大学社会学研究科准教授。1978年生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科単位取得退学。博士(人間科学)。専攻は、文化/社会人類学。主な著書に、『ブルーノ・ラトゥールの取説ーーアクターネットワーク論から存在様態探求へ』(月曜社、2019年)、『機械カニバリズムーー人類なきあとの人類学へ』(講談社、2018年)、『ロボットの人類学ーー二〇世紀日本の機械と人間』(世界思想社、2015年)など。

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