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男らしさの終焉

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英国生まれのアーティストであり、TVメディアでパーソナリティを務めるグレイソン・ペリーは、12歳の時に自分の男性性に疑問を抱き、やがて女性の服を着ることに魅力を感じるようになりました。

暴力的な継父など周囲の男性たちやジェンダーの縛りのせいで苦しんだ経験をもつグレイソン・ペリーは、男性の最大の敵は、男性自身だといいます。
男性性の被害者は女性だけではありません。
男性自身もまたジェンダーを演じることに駆り立てられている犠牲者といえます。

大抵の男性はいい人で道理をわきまえています。
しかし、乱暴な人間、レイピスト、犯罪者、殺人者、脱税者、汚職政治家、セックス中毒、ディナーで退屈な話をするのは、なぜ男性ばかりなのでしょうか。

世界は絶えず変化しています。男性にも変化が必要です。
マッチョで時代遅れの男らしさと距離を置き、それとは別の男らしさを受け入れることで、世界にポジティブな変化をもららすことができるのです。

本書では主に男性性が支配する四つのエリアについて言及しています。
・権力(男性が世界を支配する様子)
・パフォーマンス(男性の服装と振る舞い)
・暴力(男性が犯罪や暴力に手を出す様子)
・感情(男性の感情)

グレイソン・ペリーは、人種、階級、性別、セクシュアリティ、経済学、人類学、社会学、および心理学など、さまざまな分野を横断しながら、冷静な(時には風刺を交えて)分析をしています。そして、本書の最後に、男性向けの未来のマニフェストを提示しています。

《男性の権利》
・傷ついていい権利
・弱くなる権利
・間違える権利
・直感で動く権利
・わからないと言える権利
・気まぐれでいい権利
・柔軟でいる権利
・これらを恥ずかしがらない権利

社会で規範とされている男性像、男らしさの固定観念から自由になるために。
世界を少し違った形で見るために。

これからのジェンダー論、ついに刊行。
[出版社より]


「本書を読みながら、「男らしさ」ってなんなのかと考え、自分の頭の中に浮かんだ言葉でもっともしっくりときたのは「麻痺」だった。そういうことにしておくとか、気付かないふりをするとか、さすがにこれくらいイイだろとか、真剣に考えないように頭を麻痺させることで「力」を顕示する」
――武田砂鉄[ライター、『ハーバーズ バザー』2020年3月号より]

「痛快、辛辣、そして真摯。「旧来型の男らしさを尊ぶ男たちは、架空の組織である男性省のトップから舌打ちされるのを恐れている」「男性性とは主に、ペニスをもつ人々にしつけられた感情の構成」という考え方に、なるほどねと膝を打ちました」
――ジェーン・スー[コラムニスト]


著 者|グレイソン・ペリー
訳 者|小磯洋光
出版社|フィルムアート社
定 価|2,000円+税
判 型|四六判
頁 数|208

ISBN|978-4-8459-1830-0
初版|2019年12月


Contents
序:壊れてないなら直すなよ
1章:魚に水のことを聞く
2章:男性省
3章:ノスタルジックマン
4章:客観主義という殻
終わりに:男たちよ、自分の権利のために腰をおろせ


Author
グレイソン・ペリー Grayson Perry
1960年イギリス生まれ。男性。さまざまな賞を受賞しているアーティスト(2003年にはターナー賞を受賞、大英博物館やサーペンタイン・ギャラリーをはじめ、日本でも2007年に金沢21世紀美術館で個展を開催。現代社会を風刺した、陶芸やタペストリー、彫刻、版画といったメディアの現代アート作品で知られる)。英国アカデミー賞受賞テレビ番組の司会者。リース・レクチャーの講師。ベストセラー作家(著書に『Playing to the Gallery』など)。古い男性の特徴がある。たとえば、常に自分が正しいと思いたいとか、大きな坂では他のサイクリストを全員追い越したいとか。

Translator
小磯洋光 Hiromitsu Koiso
1979年東京都生まれ。翻訳家。イースト・アングリア大学大学院で文芸翻訳を学ぶ。英語圏の文学作品の翻訳のほか、日本文学の翻訳にも携わる。翻訳書にテジュ・コール『オープン・シティ』(新潮社クレスト・ブックス)

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