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戦時下の「文化工作」は、いかに手塚治虫を育んだのか?
戦後に花開いた日本映画の担い手たちは、元をたどれば共通の歴史的・文化的体験を有している。東宝が映画を用いて行った戦時下の「文化工作」もその一つであり、あの手塚治虫もまた、それら先鋭的な映画理論やロシア・アヴァンギャルド運動を貪欲に吸収した人物であった。本書では、種々の新史料の発見を通じて、手塚をそれら戦時下のメディア理論の文脈から新たに捉え直すことで、彼の戦後の営みを再解釈せんとするものである。執筆にあたり助力を得た映画史家・牧野守氏の貴重なインタビューや、氏が執筆したTVアニメ『鉄腕アトム』幻の第一話脚本も収録。
[出版社より]
著 者|大塚英志
出版社|講談社
発 行|星海社[星海社新書]
定 価|1,400円+税
判 型|新書判
頁 数|464
ISBN|9784065144763
初 版|2018年12月
Contents
プロローグ 『アトム』は何故「文化映画」の夢を見たのか
第1章 東宝プロデューサー松崎啓次の「文化工作」―偽装中国映画『椿姫』から実写版『アトム』へ
第2章 まんが記号説はエイゼンシュテインから生まれた
第3章 手塚版『罪と罰』は「ストーリーまんが」の実験だった
第4章 「日本」はいかにして「映画的」になったか
第5章 マルチプレーンとレイヤーのジャポニズム
第6章 空想から機械へ―中野重治と科学という転向
第7章 機械芸術論と占領下の『スーパーマン』
付章 牧野守インタビュー 映画史家・牧野守とアニメ『鉄腕アトム』幻の第一話シナリオをめぐって
資料 牧野守脚本『鉄腕アトム』第一話「フランケンシュタインの巻」
Author
大塚 英志 Eiji Otsuka
まんが原作者・批評家。1958年東京都生まれ。まんが原作者としての近作に『クウデタア〈完全版〉』『恋する民俗学者』(http://comic-walker.com/)、海外のまんがアニメ研究者の日本語による投稿論文に門戸を開く研究誌『トビオクリティクス』を主宰。批評家としての近著に『大政翼賛会のメディアミックス』、『まんがでわかるまんがの歴史』、『日本がバカだから戦争に負けた』、『『ロードス島戦記』とその時代』(共同編集)など。
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