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新たな技術・メディアが驚異的な発展を遂げて人々に圧倒的な支持を得た19世紀末から20世紀初頭に、冷めた合理性に裏打ちされる新たな技術と祝祭性を伴う熱狂の狭間で揺れ動いたドイツ文化の諸相を、当時の社会思想や社会状況も織り交ぜながらあぶり出す。
[出版社より]
編著者|鍛治哲郎・竹峰義和
出版社|青弓社
定 価|4,000円+税
判 型|A5判/並製
頁 数|288
ISBN|978-4-7872-7349-9
初 版|2014年6月
Contents
陶酔の美学、あるいは個の解消とテクノロジーのなかの陶酔――序にかえて 鍛治哲郎
第1部 陶酔のテクノロジー
第1章 機械の陶酔のなかで ベルント・シュティーグラー[柳橋大輔訳]
1 坩堝のなかで
2 速度とリズム
3 より高次の秩序
4 新しい技術的人間とファシズム的大衆
第2章 「おまえはカリガリにならなければならない!」――ヴァイマール映画における陶酔と越境の契機をめぐる一考察 竹峰義和
1 カリグラフィーとしてのカリガリ
2 アトラクションとしてのカリガリ
3 越境するカリガリ
第3章 陶酔と制御――アルフレート・デーブリーン『山と海と巨人』における技術 ガブリエーレ・シュトゥンプ[長谷川晴生訳]
第2部 陶酔のディスクール
第4章 海の誘惑 身体の夢――G・ベンとS・フェレンツィにおける生物学と陶酔 鍛治哲郎
1 消滅と一体化――ホーフマンスタール
2 海と陶酔――ベン
3 海と母胎――フェレンツィ
4 海の干拓――フロイト
第5章 エルンスト・ブロッホ『この時代の遺産』における陶酔の弁証法 森田 團
1 『この時代の遺産』における陶酔
2 生きられた瞬間の暗闇
3 暗闇の絶対的な先行性
4 陶酔の弁証法
第6章 陶酔のなかで共に生きる――ベンヤミンの麻薬実験と恍惚の集団性 カイ・ファン・アイケルス[羽根礼華訳]
1 ベンヤミンvs.クラーゲス――社会的陶酔と非社会的陶酔
2 いかにして陶酔を組織するか
3 私たちの弱さの政治的作用
第7章 陶酔と無調――奏でられ、歌われ、酔われる四重奏に向けて 長木誠司
1 歌われる四重奏――ベルクの『抒情組曲』
2 ほかの遊星の陶酔――シェーンベルクの『弦楽四重奏曲第二番』
第3部 陶酔の演出
第8章 第一次世界大戦中のパウル・ベッカーの思想と「世界観音楽」の終焉 岡田暁生
1 世紀転換期と巨大管弦楽の夢
2 第一次世界大戦と世界観音楽の破綻
3 パウル・ベッカー『ドイツの音楽生活』と音楽の「新しい公共性」
4 共同体的熱狂への幻滅
第9章 アビ・ヴァールブルクにおける陶酔とメランコリーの認識法――ニンフとアトラスをめぐる「ムネモシュネ・アトラス」拡張の試み 田中 純
1 「ニンフ=グラディーヴァ」の系譜
2 「アトラス=せむし」の系譜
第10章 技術と陶酔、演劇と祝祭――マックス・ラインハルトの場合 高橋宗五
第11章 方法としての陶酔、材料としての人間、芸術家としての総統――ヴァイマール共和国における国家社会主義と「政治の美学化」 ヘルマン・ゴチェフスキ
1 指導者原理と国家社会主義の魅力
2 方法としての陶酔
3 材料としての人間、芸術家としての総統
インターフェースとしての陶酔体験――むすびにかえて 竹峰義和
Editor
鍛治 哲郎 Tetsuro Kaji
1950年生まれ。鎌倉女子大学教授。専攻はドイツ文学。著書に『ツェラーン 言葉の身ぶりと記憶』(鳥影社)、共著に『批評理論』(講談社)、共訳書に『グリム ドイツ伝説集』上・下(人文書院)など。
竹峰 義和 Yoshikazu Takemine
1974年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科准教授。専攻は表象文化論、ドイツ思想史、映像メディア論。著書に『アドルノ、複製技術へのまなざし』(青弓社)、共著に『美のポリティクス』(御茶の水書房)、共訳書にヴィンフリート・メニングハウス『吐き気』(法政大学出版局)など。
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