その犠牲者は、一〇〇〇万人―四〇〇年にわたり大西洋上で繰り広げられた奴隷貿易の全貌が、歴史家たちの国境を越えた協力によって明らかになってきた。この「移動する監獄」で、奴隷はいかなる境遇に置かれたのか。奴隷貿易と奴隷制に立ちむかったのはどんな人たちか。闇に閉ざされた船底から、近代をとらえなおす。
[出版社より]
著 者|布留川正博
出版社|岩波書店[岩波新書]
定 価|860円+税
判 型|新書判
頁 数|240
ISBN|9784004317890
初 版|2019年8月
Contents
はじめに――ロビンソン・クルーソーの奴隷貿易
第1章 近代世界と奴隷貿易
一 奴隷制の世界史的意味――エリック・ウィリアムズの問い
二 奴隷貿易の歴史的起源
三 明らかになる四〇〇年の貿易実態――歴史学の新たな挑戦
四 アシエント奴隷貿易が意味するもの
第2章 奴隷船を動かした者たち
一 「移動する監獄」――奴隷船の構造と実態
二 奴隷となったアフリカ人たち――人身売買,中間航路,叛乱
三 船長と水夫
四 奴隷商人とエージェント――奴隷船を操る者たち
第3章 奴隷貿易廃止への道
一 サマーセット事件から始まる
二 アボリショニズムの展開――クウェイカー教徒とイギリス国教会福音主義派
三 奴隷貿易廃止キャンペーンと砂糖不買運動
四 ハイチの奴隷叛乱
五 イギリスの奴隷貿易廃止
六 在英黒人とシエラ・レオネ植民地
七 奴隷貿易の終焉
第4章 長き道のり――奴隷制廃止から現代へ
一 奴隷制廃止へ
二 奴隷から移民へ――一九世紀の人流大転換
三 おわりに
あとがき
主要参考文献
Author
布留川正博 Masahiro Furugawa
1950年、奈良県生まれ。1973年、大阪大学基礎工学部卒業。民間企業勤務を経て、同志社大学大学院経済学研究科博士後期課程退学。同志社大学経済学部助手、専任講師、助教授を経て、同志社大学経済学部教授。専攻は大西洋奴隷貿易史、近代奴隷制史。
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