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「写真の都」物語——名古屋写真運動史 1911-1972

¥ 4,180

1920年代日本における絵画主義の時代様式を築き上げた日高長太郎と〈愛友写真倶楽部〉。1930年代後半の美術界を席巻したシュルレアリスム(超現実主義)やアブストラクト(抽象美術)の影響を受け、自らの精神を写真で表現しようと前衛写真を展開したフォト・アヴァンギャルディストたち―。名古屋では戦前からさまざまな写真家が、ときに写真団体を結成しながら、全国でも有数の優れた展開を成した。

戦後には、リアリズム運動と主観主義運動が鎬を削るように展開し、さらに1950年代に名古屋出身の写真家・東松照明によって〈中部学生写真連盟〉が組織されると、名古屋はやがて学生写真と学生運動の中核となる。その流れは全国に波及し、公害を告発するキャンペーン写真集『この地上にわれわれの国はない』や、戦争の傷跡をたどる『ヒロシマ・広島・hirou-simə』などの写真集として結実する。

本書では「写真の都」名古屋を中心に、写真表現の変遷を、複数の人々が出会い意気投合して生まれ出たもの、そして共通した目的と方向を共有した「運動体」として捉え、写真が社会的あるいは時代的要請にどのように応じたかを検証する。全国の高校生・大学生による、1960年代の激動の時代を活写する写真など、初公開資料も多数収録。資料としても貴重な一書。
[出版社より]


編著者|竹葉丈
出版社|国書刊行会
定 価|3,800円+税
判 型|B5判/上製
頁 数|291

ISBN|978-4-336-07198-9
初 版|2021年02月


Contents
I 写真芸術のはじめ─日高長太郎と〈愛友写真倶楽部〉
日高長太郎 初期写真/山本五郎 初期写真/日高長太郎の完成作品(ゴム印画)とレタッチ/〈愛友写真俱楽部〉第一世代全盛期の作品/愛友写真俱楽部第1回展覧会『画集』/写真画集『白陽』/芸術写真研究雑誌『銀乃壺』

II モダン都市の位相─「新興写真」の台頭と実験
日常スナップ/光と影の構図/女を撮る/舞台写真/マチエールとモンタージュ/ディストーションとマニピュレーション

III シュルレアリスムか、アブストラクトか―「前衛写真」の興隆と分裂
“ 半静物”─ 屋外で静物を組む/新即物主義の徹底/超現実主義写真集『メセム属』/〈レディ・メイド〉オブジェの発見/モンタージュ・シュルレアリスム/フォト・アブストラクト─抽象的造影と民家・民藝への接近

IV 客観と主観の交錯─戦後のリアリズムと主観主義写真の対抗
シュルレアリスムの復活─〈VIVI 社〉/主観主義写真─ モチーフを作り上げる/リアリズムの台頭

V 東松照明登場─リアリズムを超えて
記憶の肖像、廃墟の光景/占領─アメリカニゼーション/長崎─ 被爆・記録から肖像へ/投影─時代と都市の体温/太陽の鉛筆─沖縄

VI 〈中部学生写真連盟〉─集団と個人、写真を巡る青春の摸索
共同制作とサークル活動─写真集『足ぶみ飛行機』/『状況1965』という変節/『Young Eyes』という運動/集団撮影行動─ サークル活動の行き着く先/高校生の写真/運動から闘争へ/告発する写真─社会変革と歴史認識


写真集・写真雑誌書誌一覧
名古屋写真史年表
掲載作品リスト

[ 掲載写真集・写真雑誌など(抜粋) ]
・『愛友画集』(愛友写真倶楽部)
・写真画集『銀乃壺』(高田皆義編集発行、銀の壺社)
・月刊写真雑誌『カメラマン』(カメラマン社)
・『スナップ写真の写し方』(紅村清彦著、アルス発行)
・機関誌『独立』(独立写真研究会発行)
・超現実主義写真集『メセム属』(下郷羊雄編著)
・VIVI社機関誌『CARNETE VIVI』(高田皆義発行)
・杉山茂太写真集『SUD』(杉山茂太)
・中部学生写真連盟 高校の部 機関誌『フォトオピニオン』
・写真集『足ぶみ飛行機』(明治大学カメラクラブ)
・キャンペーン写真集『状況 1966』
・キャンペーン写真集『10.21とはなにか』(「10・21とはなにか」を出版する会)
・キャンペーン写真集『69 11/13-17 佐ト訪米阻止斗争』(ふたたび10・21を出版する会)
・キャンペーン写真集『この地上にわれわれの国はない』(全日本学生写真連盟公害キャンペーン実行委員会)
・名電工写真部『大須』(名古屋電気工業高校写真部)
・高橋章写真集『断層―現代高校生の記録』(高橋章)
・写真集『三里塚 1』(三里塚写真の会)
・名古屋女子大学集団撮影行動写真集「郡上」オリジナル・プリント
・Sugiura Yoji 写真集『白亜の壁――高校生の記録』(杉浦幼治)
・全日本学生写真連盟『全日会報 Young Eyes』
・写真集『ヒロシマ・広島・hirou-simə』(全日本学生写真連盟広島デー実行員会』)
ほか


Editor
竹葉 丈 Jo Takeba
1961年生まれ。名古屋市美術館学芸員。現代美術、写真( 史)に関する調査、展覧会企画に携わる。主な企画展覧会に、『名古屋のフォト・アヴァンギャルド』(1989 年)『異郷のモダニズムー淵上白陽と満洲写真作家協会』(1994年)『ジェームズ・タレルー夢のなかの光はどこからくるのか?』(1997年)『THE HISTORY OF JAPANESE PHOTOGRAPHY』(2003年、The Museum of Fine Arts, Houston, The Cleveland Museum of Art)『河口龍夫ー見えるものと見えないもの』(2007年)『写真家・東松照明全仕事』(2011年)、「異郷のモダニズムー満洲写真全史」(2017年)など。主な編著書に『日本の写真家6 淵上白陽と満洲写真作家協会』(共著、1998年、岩波書店)『コレクション日本シュールレアリスム3  シュールレアリスムの写真と批評』 (2001年、本の友社) など。2018 年、展覧会「異郷のモダニズム―満洲写真全史」ならびに同展図録出版(2017年、国書刊行会)により、日本写真協会学芸賞、第30回写真の会特別賞を受賞。

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