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物質に回帰する理論の群れ。
新しい唯物論、思弁的実在論、オブジェクト指向存在論などの新しい現代思想をはじめ、21世紀のバズワードとなった人新世をめぐる議論、あるいはメディア論におけるプラットフォームへの着目、人文社会学における情動論など、今日、人文諸学の基礎理論の周りには、「物質」、「テクノロジー」、「情動」といった言葉がはげしく飛び交っている。世界的規模で爆発的に展開している、その潮流はどこから来たのか。そして、どこへ向かうのか。各分野をまたいで繰り広げられる、濃密な議論の応酬。
建築、美術、哲学、映画研究、フェミニズム、メディア論、社会学など第一線の研究者20名による、8本の討議が浮かび上がらせる、最前線の知の光景。
[出版社より]
編 者|北野圭介
出版社|人文書院
定 価|2,300円+税
判 型|四六判・並製
頁 数|306
ISBN|9784409030998
初 版|2018年08月
Contents
序 表象からものへ、ものから表象へ
Ⅰ ものをめぐる新しい思考
1 新しい唯物論の可能性とその限界――兆候としてのモノ
+アレクサンダー・ザルテン
ニュー・マテリアリズムの興隆とその起源 セオリーか兆候か
アニミズムと資本主義の連関 死と時間の問題 イメージの循環と変化
ものとのあるべき関係を探して
2 人新世とフェミニズム
+飯田麻結+依田富子
「人新世」をめぐる問題圏の拡がりと強度 ハラウェイの影響と継承
思考不可能性という問題をどう立て直すか 誰が人新世を語ることができるのか
Ⅱ ポストメディア、ポストヒューマン
3 メディアテクノロジーと権力――ギャロウェイ『プロトコル』をめぐって
+伊藤守、大山真司、清水知子、水嶋一憲、毛利嘉孝、北村順生
ネットワーク化する権力と対抗運動 〈帝国〉とプロトコルの現在へ
プロトコルへの戦術的応答 プロトコルはパワフルなのか
『資本論』と人工生命 読解のための三つのポイント
カルチュラル・スタディーズ、人工知能 技術決定論への回帰?
4 ポストメディウム理論と映像の現在
+加治屋健司+門林岳史+堀潤之+前川修
ポストメディウム理論の限界 マノヴィッチ/ベルール クラウスの批評戦略
メディウム以降の美術 メディウム間の棲み分け
5 リダンダンシー・ハビトゥス・偶然性――ポストヒューマニズムの余白に
+坂元伝+佐藤良明+リピット水田堯+山内志朗
ポストヒューマンとリダンダンシー 接頭辞「ポスト」の行方
「無意識」以後のit 創発性の建築空間
エンボディメント(身体化)とは何か 「自由」というファンタジー
6 映画をめぐる新しい思考のために
+宇野邦一+リピット水田堯
フレームとは何か 映画における過剰なもの 身体の還元不可能性
「見者」の身体 映画と精神分析
Ⅲ 「日本」をめぐって
7 日本哲学のポジショニング
+檜垣立哉
日本哲学の現代性 西田幾多郎の強度 ポストモダンと京都学派
哲学と批評の交わらなさ マルチ・ナチュラリズム 未来のテクネー論へ
8 日本社会をいかに語るか――来るべきカルチュラル・スタディーズ
+吉見俊哉
バーミンガム学派の役割 カルチュラル・スタディーズとの出会い
『思想の科学』とカルチュラル・スタディーズ 社会学とカルチュラル・スタディーズの関係
アジアとの連携へ 敵と「添い寝」する戦略 グローバリゼーションの渦の中で
「理論」の役割 流行思想からの跳躍 大衆文化とカルチュラル・スタディーズ
日本近代の特殊性 日本に期待されるもの 「文化」を再定義する
あとがき――言葉の揺れのなかで
人名索引
Editor
北野 圭介 Keisuke Kitano
1963年生。ニューヨーク大学大学院映画研究科博士課程中途退学。ニューヨーク大学教員、新潟大学人文学部助教授を経て、現在、立命館大学映像学部教授。映画・映像理論、メディア論。2012年9月から2013年3月まで、ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ客員研究員。著書に『ハリウッド100年史講義 夢の工場から夢の王国へ』(平凡社新書、2001年/新版2017年)、『日本映画はアメリカでどう観られてきたか』(平凡社新書、 2005年)、『大人のための「ローマの休日」講義 オードリーはなぜベスパに乗るのか』(平凡社新書、2007年)、『映像論序説 〈デジタル/アナログ〉を越えて』(人文書院、2009年)、『制御と社会 欲望と権力のテクノロジー』(人文書院、2014年)。編著に『映像と批評ecce[エチェ]』1~3号(2009年~2012年、森話社)、訳書にD・ボードウェル、K・トンプソン『フィルムアート 映画芸術入門』(共訳、名古屋大学出版会、2007年)、アレクサンダー・R・ギャロウェイ『プロトコル』(人文書院、2017年)など。
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