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重力と恩寵

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「重力」に似たものから、どうして免れればよいのか。——ただ「愚寵」によって、である。

「恩寵は満たすものである。だが、恩寵をむかえ入れる真空のあるところにしかはって行けない」「そのまえに、すべてをもぎ取られることが必要である。何かしら絶望的なことが生じなければならない」。真空状態にまで、すべてをはぎ取られて神を待つ。苛烈な自己無化への志意に貫かれた独自の思索と、自らに妥協をゆるさぬ実践行為で知られる著者が、1940年から42年、大戦下に流浪の地マルセイユで書きとめた断想集。死後、ノート(カイエ)の形で残されていた思索群を、G・ティボンが編集して世に問い、大反響を巻き起こしたヴェイユの処女作品集。
[出版社より]


著 者|シモーヌ・ヴェイユ
訳 者|田辺保
出版社|筑摩書房[ちくま学芸文庫]
定 価|1,200円+税
判 型|文庫判
頁 数|384

ISBN|978-4-480-08242-5
初 版|1995年12月


Author
シモーヌ・ヴェイユ Simone Weil
1909−43年。フランスの実存的思想家。ユダヤ系医師の家に生まれ、高等師範学校卒業後、高等中学校の哲学教師となる。34年から1年間アルストム、ルノー等の工場で労働、『工場日記』を遺す。スペイン内戦では人民戦線側で戦う。38年ソレムの修道院で「キリストの受難」の思想を学ぶ。40年のパリ陥落後マルセイユでペラン神父らと親交。42年、アメリカに亡命するも、自由フランス政府で働くべくロンドンに渡り客死。著書に『根をもつこと』『重力と恩寵』『ヴェイユの哲学講義』などがある。

Translator
田辺 保 Tamotsu Tanabe
1930−2008年。岡山大学教授、大阪市立大学教授などを歴任。専攻、フランス文学。

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