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『ニック・ランドと新反動主義』『ダークウェブ・アンダーグラウンド』『闇の自己啓発』など、いま最注目の文筆家による約3年ぶりの単著。
資本主義の〈外部〉を見据え、アリスのようにウサギの穴から落ちること??
カール・マルクス、サイバーシン計画、L S D、反知性主義、再魔術化、そしてアシッド・コミュニズム。過去と現在を行き来し、亡霊のように彷徨う〈ありえた未来〉を幻視する旅は、やがて60年代サイケデリクスとカウンターカルチャーの可能性を再び蘇らせる。世界の変容を志す新たな覚醒のために捧げる16篇。
[出版社より]
著 者|木澤佐登志
出版社|大和書房
定 価|2,000円+税
判 型|四六判/並製
頁 数|344
ISBN|978-4-479-39381-8
初 版|2022年01月
Contents
Chapter1 資本主義リアリズムと失われた未来
1 未来の誕生と喪失
ルイス・キャロルは黄金色の午後の夢を見たか
カール・マルクスと胎動する〈革命〉
虚構としての未来
〈未来=子ども〉の光と闇
エーデルマンと致死的な〈未来〉
2 資本主義リアリズムの起源
チリ・クーデターが崩壊させたもの
サイバネティクスと恒常性
サイバーシン計画――テクノロジーによる社会民主主義
新自由主義の実験場
3 未来を幻視する――失われた連帯のために
シティズンシップの崩壊
道化と超人――ジョーカーの虚ろな哄笑
持たざる者たちの連帯と叛乱?
ポピュリズムは「解放」か「抑圧」か
人びとを繫ぐ共同体を求めて
タランティーノと失われた未来――ヒッピーの死、テト攻勢、シャロン・テート
4 カウンターカルチャーの亡霊――祓われた六〇年代
濁りきったサイケデリア
憑在論的メランコリー
保守化したカウンターカルチャーの担い手たち
反体制と消費資本主義――ジョセフ・ヒース
ユートピアの再構築――ヘルベルト・マルクーゼ
意識変革に対するシニシズム
資本主義リアリズムに罹患した世界
Chapter2 アシッド・コミュニズム――再魔術化と反脱魔術化
1 マーク・フィッシャーと再魔術化する世界
アシッド・コミュニズムとは何か
脱魔術化――世界からの疎外、生の意味の喪失
再魔術化――ニューエイジ運動、あるいは世界変革という名の自己変容
反脱魔術化――カウンターカルチャーと消費文化の断絶
2 近代からの逃走――スイスに胚胎したカウンター思想の源流
マックス・ウェーバーの死
脱魔術化への疑義
異端者たちの狂騒――キャバレー・ヴォルテール
「真理の山」と「魔の山」――カウンター思想の結節点
ダレスとユングの邂逅
3 LSDと知覚の扉―― 帰郷、あるいは自己変容による革命
LSDの誕生
ホフマンとユンガーのトリップ・セッション
現実の複数性と超越的現実
MKウルトラ計画
再プログラミングとしてのLSD
LSDから除かれた近代批判
4 霊的資本主義――スピリチュアル、自己啓発、スマートドラッグ
世界に纏わせたフィルターを払う
エサレン研究所とアブラハム・マズロー
サイケデリクスからニューエイジへ
ハイパフォーマンスのためのスマートドラッグ
一八世紀の「大覚醒」、六〇年代の「トリップフェスティバル」
ドラッグによるインナートリップから、サイバー空間へのジャックインへ
Chapter3 変性する世界
1 反知性主義の起源を求めて――大覚醒、食物中毒、集団幻想
知の奪還――大衆に開かれたLSD
反知性主義はアメリカ史に通底する
信仰復興運動と反知性主義
ピューリタニズムと民主主義を結ぶもの
2 蜂起を生きる――カント、フーコー、フィッシャー
世界という不条理の〈外部〉
フーコー 、ドラッグ、快楽
イグジットとしての「啓蒙」
批判――境界の恣意性を示す
不服従と霊性
3 議事堂の中のシャーマン――虚構の時代の陰謀論
世界のディズニーランド化
代替現実ゲーム
大きな物語との一体化
Qアノンの論理システム
瞬間のシナリオを生きるポストモダン
自己啓発としての陰謀論
マルチビジネスを彩るパステルQアノン
議事堂の中のシャーマン
4 可塑的な〈世界〉へ――資本主義リアリズムからの解放
能力主義社会が追いやる人びと
自己責任のメンタルヘルス――マネジメントとレジリエンス
鬱は資本主義に固有の病である
魔術的自立主義と自己啓発
世界の可塑性――反脱魔術化としてのスピノザ主義
Chapter4 共同体と陶酔――反脱魔術化の身体に星が降るとき
1 否定と治癒 ――逸脱者たちの目覚め
資本主義はなぜ健常でいられるか
幻想となった〈外部〉
生権力 ――規律から生政治へ
規範というファクター
異常と正常の連続性
精神疾患をラベリングする感情管理社会
包摂は誰のためか
治癒としての否定性
2 痙攣する身体
魔女狩りと資本主義
搾取される身体――生殖機械と労働機械
生産性――現代社会に通底する優生思想
抵抗と痙攣――身体の反脱魔術化
適応不全を知らせるもの
3 鏡の牢獄――既知と自己の乱反射
個人を規定するアーキテクチャ
ナッジは自由を制約するのか
最適化する環境、偶然性の喪失
自由意志と責任
4 それでも未来は長く続く
当事者研究――現代社会へのアンチ・テーゼ
障害学とクィア理論――異なる未来を構想する
共に在る意味
公的空間の再構築
新たな始まり――見せかけの必然性を解体する
照応し合う身体と宇宙
Author
木澤 佐登志 Satoshi Kizawa
1988年生まれ。文筆家。思想、ポップカルチャー、アングラカルチャーの諸相を領域横断的に分析、執筆する。著書に『ダークウェブ・アンダーグラウンド――社会秩序を逸脱するネット暗部の住人たち』(イースト・プレス)、『ニック・ランドと新反動主義――現代世界を覆う〈ダーク〉な思想』(星海社新書)、共著に『闇の自己啓発』(早川書房)、『異常論文』(ハヤカワ文庫)がある。『SFマガジン』にて「さようなら、世界――〈外部〉への遁走論」を連載する。
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